何が北斎のしわざ?「ぜんぶ、北斎のしわざでした。」展へ

「ぜんぶ、北斎のしわざでした。」展 に行ってきました!
その名を知らぬ人はいない北斎ですが、彼の作品は今の漫画やアニメのルーツとも言われており、今回は何が北斎の「しわざ」なのか
を楽しみながら見ることができる企画展です。
1700冊以上のコレクションを有する浦上満氏の全面協力のもと開催されており、『北斎漫画」や『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』など、質・量共に”世界一”と言われる貴重な浦上コレクションが展示されています。
今回はANA株主優待券・JAL株主優待券を購入される方 に向けて、私の印象に残ったものや好みのものをいくつかピックアップしてご紹介します。
かなりの数が展示されていますので、全部見たい!という方は実際に足を運ぶことをお勧めします。
今の漫画は北斎の「しわざ?」

会場に入ると、まずこの絵の大きなパネルが目に入ります。『椿説弓張月』続編です。
曲亭馬琴とのコラボ作品で、北斎の人気に火をつけるきっかけとなったシリーズの一つです。この目につくおじさんは”ラスボスキャラ”らしいのですが、なんといってもこの集中線の威力!
集中線という技法が確立していないであろう時代に、すでにこれを使いこなしていたのが驚きです。
続いてパッと目を引いたのがこちらの作品。

渦がなんとも不気味
これを見て伊藤潤二先生のホラー漫画「うずまき」を思い出したので印象に残っています。
渦の迫力がどこか不気味な雰囲気を漂わせています。
他にも現代の漫画の技法が使われた絵がたくさん展示されており、改めて北斎の凄さを実感しました。
次のブースに進むと、なんと『富嶽三十六景 神奈川沖波裏』が!!

公式に公開されている画像より
北斎といえばやはりこの作品ですよね。残念ながら撮影禁止のため、公式に公開されている画像を参考として掲載します。
実はこの作品が展示されていることを知らずに行ったので、目の前に現れた瞬間「本物が見られるなんて!!」ととても興奮しました。
版画なのでこの世にたくさん存在するのですが、やはり本物は嬉しいですよね。
「赤富士」も素晴らしいですが、私はこの大波の方が好きなんです。ヨーロッパを旅行していた時も至るところで目にし、その人気の高さを実感しました。
この特徴的な迫力ある波ですが、実は写真で撮影すると本当にこのような形で波が動くそうです。写真が無かった時代に、
わずかな瞬間の動きを正確に捉える観察眼を持っているのが見事すぎます。
ちなみにちょっとした小話ですが、『富嶽三十六景』というタイトルで知られるこのシリーズ、実は人気すぎて46枚描かれたそうです。
そしてこの「人気すぎて」というキーワードは後にも出てきます。
最後のブースには、北斎が描いた『富嶽百景』もたくさん展示されています。
「冨嶽三十六景」がカラーであるのに対し、「富嶽百景」はモノクロ。両者の違った魅力を楽しむことが出来ます。
ここからは、北斎のユーモアとコミカルさに焦点を当てていきます。
富士山で有名な北斎ですが、人物の絵も負けず劣らずとっても魅力的です。
北斎は、この世の森羅万象(人、動物、自然から怪奇なものまで)を『北斎漫画』という形で描き発行しました。
ここでいう「漫画」は、今のマンガの意味ではなく北斎が「思いつくまま描いた絵」という意味を指します。ここから漫画という言葉が広まったと言われています。
しかも何と、あまりに「人気すぎて」
約70年も刊行が続いたそう。まさに「こち亀」
もびっくりの長編シリーズですね。
では私のお気に入りをいくつか紹介します。まずはこちら!

北斎漫画11編
実は北斎漫画は十編で終わる予定だったのですが、「人気すぎて」15編まで続いたんです。これはその十一編の絵です。左上に「新」という文字が見えますね。
そして何より面白いのが、この左下にある3つの絵です。墨。巻物。扇子。これを繋げると・・・「すみ・ま・せん」。つまり、「終わりませんでした〜すみません〜」ということですね。
この解説を聞いた時、「すみません」ってこの時代に使われてたのか!という驚きと同時に北斎のユーモアセンスに感動しました。
次はこちら!

北斎漫画3編
この絵を見るためにこの展示会に来たといっても過言ではないくらいのお気に入りです。
あとで写真を載せますが、グッズコーナーでこの絵のポストカード・ふきん・本の栞を買って帰りました。
この人形みたいなのは何かというと、「踊りの振り付け」を描いたものなんです。つまり動画のない時代に、
どうやって踊るかを描いた”ダンスの指南書”なのです。見てるだけでかわいいですね!
振り付けの格好がコミカルで線のタッチも柔らかく、さらに笠が顔に見えてきて余計可愛いらしいんです。
こちらも振り付けのものです。

いい顔してます
北斎にはいくつもの画風があるのが特徴ですが、中でもそのコミカルさが特に現れているのが日常の人物画です。
ここからは、私が特に気に入っている何人かをご紹介します。

音程合ってなさそう・・
お坊さん?なのでしょうが、詠唱というより大合唱を始めそうですよね。

よいしょ!という声が聞こえてきます

皆ぐうたらしてて最高ですね

変顔はいつも時代も変わらないんですね

おならかけられてますよ!
富士山で知られる北斎ですが、このように実にユーモア溢れる人なんです。
そもそも、自分を「画狂老人卍(がきょうろうじんまんじ)」と名乗り、あの時代に90回以上引越ししているくらいなので、
ユーモアが無い訳ないのですが。(しかも引っ越し理由が、部屋が片付けられなかったかららしいです)
絵の紹介はこれで以上とします。展示会には本当にたくさんの絵が並んでいて、絵描き歌、可愛い犬、植物、
妖怪や風景など盛りだくさん。
超素人の感想ですが「絵、上手い!!」と何度も心の中で叫びました。
展示会の色が出る、グッズコーナー

お土産で買ったのがこちら。
ポストカード(1枚198円)、クリア栞(1枚495円)、ふきん(660円)でした。他にもスヌーピーとのコラボなど欲しくなる物がいっぱい!
今回の北斎展、チケット代は一般2300円と展示会にしては少しお高めかな?という印象を受けますが見ごたえがあり内容は大満足です。
今回はオーディオガイド(700円)を借りました。2種類あり、一つはKing&Princeの高橋海人さんがナビゲーターのもので、ファンの方もちらほら来場されていました。
展示自体、北斎に関しての解説は多く見られましたが、作品の解説は少なめでした。なので、あまり詳しくないが作品の背景まで楽しみたいという方や、作品をより深く楽しみたいというANA・JAL販売日記をご覧の皆様方はオーディオガイドを借りるのがおススメです。
こちらの展示会2025年11月30日(日)まで開催しています。
とても見ごたえのある展示なので、興味がある方はぜひANA・JAL株主優待券を購入されて足を運んでみてください。
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