2025年12月23日
その昔 魚河岸があった場所を巡る散策

三越前を歩く

後編になります。
前編ブログ→「魚河岸があった場所を巡る-「築地市場」と「日本橋」を歩く」
築地場外市場がある場所から一番近い東京メトロ日比谷線に乗り、銀座で銀座線に乗りかえました。
ANA・JAL株主優待券販売をご利用の皆さまは羽田から都心に向かう際に「浅草線」使いう方も多いかと思います。直接日本橋に行かれる方は都営浅草線を利用するのも良いかも知れません。
折角ですので、今回は日本橋の一つ先の駅、三越前駅からスタートしました。
2020年にできた複合商業施設です。コレド室町1〜3と3つの建物があり、和を感じる飲食店や老舗店舗やレストラン、映画館、多目的ホールなどが集まっていて建物ごとに特徴があります。
日本橋らしい落ち着いた雰囲気で、近代的なビルでありながら江戸の面影を感じる粋で鯔背(いなせ)な感じが漂っています。
飲食店も多く、ランチはリーズナブルなお値段設定にもかかわらず本格的な味が楽しめますので、お店を決めずにその時の気分で選ばれるのも良いかも知れません。
②福徳神社(芽吹稲荷)
コレド室町の裏側、ビルの合間に静かに佇む神社ですが、貞観年間(859年~876年)には既に鎮座していたとされる徳川家康公も参詣した由緒ある神社です。社殿は新しいですが歴史の深さを感じました。
商売繁盛や旅の安全、良縁を呼ぶご利益で知られていることから、ANA・JAL株主優待券販売をご利用の皆さまには最適な神社だと思われます。

徳川家康公も参詣の福徳神社
③薬祖神社
福徳神社のすぐ近くにありますが、混雑していた福徳神社に比べて参拝している人が見当たらないほどひっそりとした小さな神社でした。しかし、江戸時代から日本橋が「くすりの街」だったそうで、その「薬の神様」が祀られている社です。
そのためか、有名な製薬会社の名前が玉垣に刻まれていました。
御利益は「無病健康」と「病気平癒」だそうですので、せっかくならこちらにも手を合わせてみてはいかがでしょうか?
観光案内等にはあまり紹介されていない神社のため、参拝された際には話題の一つになるかと思います。

多くの製薬会社の名前が刻まれている薬祖神社
④日本橋三越本店
江戸時代の呉服店「越後屋」が発祥となった誰もがご存じの老舗百貨店です。
今までは残念ながらせいぜい地下の食品売り場程度の訪問でしたが、改めて本館に入ると大きな風格ある荘厳な空間に驚きました。
「百貨店建築の傑作」と評される理由がよくわかります。一番驚くのが吹き抜けの百貨店内にそびえる立つ巨大な天女の像。(「まごころ像」とも言われていています)
建物の5階に届くようにそびえ立つ、この不思議な概念的彫像の大きさと美しさはただただ圧巻でした。買い物をしなくても吹き抜けの建物とこの像を見るだけでも訪問する価値はあると思います。

天女像
⑤「日本橋魚河岸発祥之地」の碑
三越百貨店付近(日本橋川沿い)にひっそりと佇んでいて、日本橋が江戸時代には食文化・流通の中心地だったことを示す説明文が刻まれています。
歴史に「もしも」はありませんが、関東大震災後もこの地に魚河岸が残っていたなら、今の日本橋はまったく異なる景色を見せていたことでしょう。今日のように築地市場跡からこの地を訪れると、時代の流れを思い実に感慨深いものがあります。
日本橋(京橋)を歩く
⑥ご存じ「日本橋」
日本橋が舞台の映画 東野圭吾原作『麒麟の翼 』に出てくる麒麟の彫刻が有名です。
中国の想像上の霊獣である麒麟は翼を持たないそうですが、日本橋の麒麟には翼があります。これには意味があるそうで日本橋は五街道の起点であり「ここから日本中へ飛び立つ」「発展と繁栄」の思いが込められているそうです。

麒麟の像
また日本橋の橋の欄干にある橋名板には「日本橋」の文字が刻まれていますが、この文字は徳川最後の将軍・徳川慶喜公の揮毫(きごう/書いた文字)だそうです。
つまりこの文字は、「江戸幕府の最後の公式な痕跡のひとつ」とも言えるかもしれません。

徳川慶喜公によって書かれた
日本橋から丸善、高島屋を通り京橋方面に向かうと1952年に開館した日本有数の私立美術館「アーティゾン美術館」があります。
旧石橋ブリヂストン美術館が2015年に一時休館し、2020年に「アーティゾン美術館(Artizon Museum)」として再開館しました。ブリヂストン創業者 石橋正二郎 が収集した名品が常時見られるだけでなく、色々な企画展が催されています。

東京駅からも近い都会の中にある美術館
私が訪ねた時は「ジャム・セッション」が開催されていました。
「ジャム・セッション」とは石橋財団コレクションと現代のアーティストとの共演により、美術の新たな可能性を探るシリーズだそうで今回は第6回。
沖縄と東北という異なる土地に根ざし、歴史や記憶に向き合ってきた山城知佳子と志賀理江子の展覧会でした。(展覧会の写真撮影は禁止)
展示内容の詳細は言葉ではなかなか表現できませんが、魂が揺さぶられ感情がえぐられるような現代アートでした。
戦争とはなにか、災害とは何か、また人生の意味といった根源的な問いを、映像、写真、詩、緊張感のある造形作品によって提示されていて、見るものの内面や情動を刺激する現代美術に触れることができました。
この美術館では企画展覧会が開催されており、現代アートから古典・近代・印象派・日本近代洋画などの企画が行われています。
また古典×現代を同じテーマで並べることも特徴だそうです。
東京・京橋という都心の好立地にあり、現代作品も古典作品も同時に見られるだけでなく前記しましたが、天井も高く静かで洗練された研ぎ澄まされた美術館ですのでお時間のある時は是非とも訪れてほしいです。
魚河岸を巡る散策から最後は「心響く現代アート」を見ることができました。日本橋界隈には千疋屋総本店(創業:1834年)、山本海苔店本店(創業:1849年)、にんべん日本橋本店(創業:1699年)、榮太樓總本鋪日本橋本店(創業:1818年)、文明堂 日本橋本店(創業:1900年)など徒歩圏内に老舗が密集しています。

老舗の果物屋「千疋屋」さん
そこを巡るだけでも楽しいかも知れません。
三越裏の名店とコレド室町の穴場ランチ

三越の反対側にある細い路地を入ると、小さいながらも有名なお店が2軒あります。
「天丼 金子半之助」さんと「とんかつ一(はじめ)」さんです。
どちらかに入れればと思い、昼時を外して13時半頃に行きましたがどちらも大行列。もしANA・JAL株主優待券販売をご利用の皆さまが行かれるならオープン前くらいの方がいいかもしれません。
そこで先に述べたコレド室町2—2階にある「博多もつ鍋やまや」さんで「熟成鶏の唐揚げめんたい風味&塩さば定食」をいただきました。肉厚のある塩さばと大きな唐揚げが2個付いており、なんとご飯と明太子が食べ放題です。
福岡の明太子で有名な「やまやコミュニケーションズ」さんが経営しているお店だそうで、「もつ鍋膳」の定食もありました。
ANA・JAL株主優待券ユーザーの皆様がっつりとした昼食を取りたい時には、ぜひ訪れてみてください。


