2026年7月1日

民話のふるさと・遠野を巡る旅

遠野

民話の世界へ ― 伝承園とカッパ淵

遠野

前回の盛岡から移動して、岩手県遠野市へやってきました。

名前を聞いたことがない人もいるかもしれませんが、遠野は「民話のふるさと」として知られる町です。カッパや座敷童、天狗などの話が今も語り継がれている地です。

それらを民俗学者・柳田國男がまとめたのが『遠野物語』。日本民俗学の出発点ともいわれる名著です。今回の旅に向けて原作と『水木しげるの遠野物語』を読んできました。特に後者は漫画なので非常に読みやすく、入門書としておすすめです。

◆伝承園

今回はレンタサイクルを借りて遠野を巡ることにしました。自転車を20分ほど走らせ、最初に訪れたのが伝承園です。

ここは、かつての遠野地方の伝統的な生活様式を伝える野外施設で、写真のように昔の人がどのような生活をしていたのかを実際に肌で感じることができます。

遠野

昔のお風呂場

なかでも特に印象的だったのが、千体ものオシラサマが祀られている「オシラ堂」です。オシラサマは遠野地方で信仰されている神様で、蚕や農業、馬、子どもなどの守り神とされています。その由来は『遠野物語』第69話に登場します。

昔、ある貧しい農夫がおり、妻はなく美しい娘と一頭の馬しかいませんでした。しかし娘は馬を愛するようになり夫婦になってしまったのです。農夫は怒って馬を桑の木に吊り下げ殺します。それにすがって悲しむ娘を見て更に斧で馬の首を切り落としてしまいました。すると娘はその馬の首に乗り、天に昇り去って行きました。オシラサマは、このとき神となったと伝えられています。

馬を吊り下げた桑で作った神の像は3つあると言われています。そんなオシラサマが並ぶオシラ堂の写真がこちら。

遠野

オシラ堂の様子

オシラ堂では、そのオシラサマが四方を囲むように並んでおり、圧巻の光景でした。写真では少し暗く写っていますが、実際はもっと明るい空間です。日本の長い歴史を感じることができました。
ここでは布に願い事を書いて奉納することもできます。私もお祈りしてきました。訪れた際はぜひ体験してみてください。

伝承園には他にも見どころがたくさんありますが、次の目的地へ向かいます。

◆カッパ淵

次に訪れたのは、遠野を代表する名所のひとつ、カッパ淵です。

遠野では昔、小川の淵にカッパが多く住み、人々を驚かせてイタズラしたそうです。『遠野物語』58話にカッパの話が記されています。
ある日子供が馬の体を冷やしに川にやってきたところ、カッパが現れ、馬を水中に引き込もうとしました。しかし、馬の力の方が強く逆にカッパが馬小屋まで連れてこられてしまいます。物音に気がついた主人が家の外に出てみるとカッパを見つけ、馬に悪さをしただろうと問い詰め村の老を集めて評議をしました。そして、今後村の馬にイタズラをしないと約束すれば許すといい、カッパは村を去って相沢の滝の淵に住んだということです。
今回訪れたカッパ淵がこちら。

遠野

カッパ淵

うっそうとしていて、今にもカッパが姿を現しそうな空気が漂っています。

近くにはカッパの像とカッパを捕獲するための釣竿が置いてあります。観光施設などで「カッパ捕獲許可証」を購入すると、カッパを捕獲に挑戦できるそうです。訪れたときはカッパを捕まえる用の水たまりが干上がって挑戦できませんでしたが、いつかリベンジしてみたいと思います。

次は遠野駅の方へ戻り、とおの物語の館に行きます。

語り継がれる遠野 ― 語り部と町の人々

遠野

◆とおの物語の館

こちらに来た目的は、語り部さんのお話を聞くこと。遠野では昔から親から子へ、代々物語が伝えられてきました。その文化を私たち体験することができます。月によって開始時刻が違うので、訪れる際は公式サイトを確認してくださいね。

語りは「むかずあったずもな(昔あったそうな)」から始まり、「どんどはれ」で終わる方言たっぷりのお話です。

正直、方言が強すぎて理解できたのは全体の1割くらい。ですが、方言が聞きたかった私にとっては、何を話しているのか完全には分からなくても、現地の言葉を味わえるのが非常に嬉しかったです。さらに、『遠野物語』を読んでいたので聞き取れた単語からストーリーが頭の中に広がり楽しむことが出来ました。遠野に訪れたなら是非体験していただきたいです。

とおの物語の館には他にも昔話を見て聞いて体験できる物語蔵や柳田國男展示館などがあり見どころ満載でした。ぜひ訪れてみてください。

◆ばんがり伊藤家屋

語り部さんにおすすめしていただいた昼食処、「ばんがり伊藤家屋」へ。こちらはとおの物語の館のすぐそば。
まぐろランチを注文。

遠野

まぐろランチ

これで1200円とお得です。そばはとてもホッとする、出汁のきいた優しい味わい。マグロは柔らかくあっさりしつつも旨みがあり東京で食べたら2000円はしそうなクオリティ。満足感たっぷりでごちそうさまでした。

◆遠野市観光協会

昼食後は遠野市観光協会へ。ここで「カッパおじさん二代目」として知られる運萬治男さんにお会いすることができました。
遠野への思いや、地元の方だからこそ知る興味深いお話をたくさん聞かせていただき、とても貴重な時間となりました。

こちらも在席時間が決まっていらっしゃるため、事前に確認してから訪れるのがおすすめです。

神秘の遠野 ― 卯子酉神社

遠野

最後は卯子酉(うねとり)神社にレンタサイクルで向かいます。なんとこのように赤い布で埋め尽くされた神秘的な景色が広がっています。
縁結びの神社として知られており、こちらは『遠野物語拾遺』35話に登場します。遠野の愛宕山の下に、卯子酉様の祠がありました。そばの小池には片葉の芦が生えており、そこは昔大きな淵であったといいます。その淵の主に願うと不思議と男女の縁が結ばれ、信者の心には時々淵の主が姿を見せたそうです。

今でも、社前にある赤い布願い事を書き、利き手ではない方の片手だけで結びつけると願い事が叶うと伝えられています。
私も願い事を書いて結んできました。利き手じゃない方の手だけで結ぶというのがなかなか難しい・・。訪れた際はぜひ試してみてください。

この他に遠野の伝統菓子の紹介が残っているのですが、そちらは次の記事で紹介いたします。次編は、遠野の伝統菓子&平泉編です。

こちらの記事の様子はInstagramでもご覧いただけます。

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